ケース5 糖尿病合併症の恐怖を実感した後は
ケアに熱心に(気付き~検査)
東京都の阿部さん(仮名、65歳)は、長年の糖尿病の治療中、心筋梗塞を起こしました。
そして、入院中に「糖尿病網膜症」も見つかったのです。
退院後は、糖尿病の管理だけでなく、目のケアにも熱心になりました。

阿部さん(東京都) 男性 65歳
症状:視力低下
病名:糖尿病網膜症
糖尿病の合併症で心筋梗塞に倒れる
50歳の時に糖尿病と診断されて以来、血糖値を下げる薬を服用しつつ、長らく病と付き合ってきています。
60歳で定年退職した後は、毎日の健康管理にそれなりに気を付けているつもりでいましたが、長年の食生活を改めるのは難しいなと実感していました。
読書やインターネットが趣味で、テレビやネットで映画などを毎日長時間見ていましたから、通勤しなくなってからは運動不足気味であることも痛感していました。
目についても、糖尿病合併症のリスクがあることは知っていました。
1996年に、両眼とも白内障になって手術を受けましたが、その後は、特に目の心配はせずに過ごしていました。
近い所が見づらくなってきているようだなとは感じていましたが、それも老眼のせいだろうと思って、気にとめていませんでした。
そして、2014年9月のある日のこと、突然の強い胸の痛みに襲われ、心筋梗塞を起こしました。
命に関わるような病気ですが、幸いにも、救急車で運ばれた病院で緊急のカテーテル治療をして事なきを得ました。
入院したのが総合病院だったため、担当の医師から、眼科も受診するようにと指示を受けました。
“目は大丈夫”というわけにはいかない
正直に告白すると、実は、3年もの間、眼科の検診を受けていなかったのです。
思い起こせば、その1年程前には、一時的な飛蚊症の症状が出たことがありました。
1週間ほどで症状は消えましたが、ひょっとしたら、今回、何か目の異常が見つかるかもしれないと、少し覚悟をしていました。
入院中に眼科を受診して、網膜の血管の状態を細かく調べてもらうことになりました。
最初の診察時には、視力や眼圧はもちろん、目薬で瞳孔を開き網膜をチェックしたり、眼底写真を撮影するなど、様々な検査のために1時間ぐらいかかりました。
そして、恐れていた通り、「糖尿病網膜症」との診断でした。
医師の説明によれば、網膜の血管が新たに作られているとのことでした。
新しくできた血管はもろいため、少し出血が見られるようでした。
このまま放置すると症状が進行して、血管が破損すると出血で失明する恐れもあるので、新たな血管ができないような治療が必要だということでした。