患者さんの負担が少ない新しい治療スタイル「Treat & Extend」とは(2ページ目)
新しい治療スタイル「Treat & Extend」
――最近では「Treat & Extend」と呼ばれる滲出型加齢黄斑変性に対する新しい治療スタイルがあるとお聞きしましたが、どのようなものでしょうか
飯田先生:加齢黄斑変性の新生血管というものは一度生まれてしまうと無くなりませんので、薬効が切れてくるとまた出血やむくみなど、再発してしまいます。そのため治療法として、本当は毎月投与していれば良いのですが、患者さんへの負担が大きく現実的ではありませんでした。そこで、これまでの治療法は毎月検査に来ていただき、悪化していたら治療するといった方法がとられていました。しかし、悪くなってから投与するので、図①のようにだんだん視力が落ちてしまいます。

図①:これまでの治療法による視力の変化
そこで新しく考えられた治療スタイルが「Treat & Extend」です。
まず月に1回の投与を3ヵ月間実施します。その後は受診していただく度に必ず投与するのですが、視力が維持できているようであれば、次回の受診を2週、あるいは4週間隔で調整しながら2カ月先、3カ月先とどんどん先に伸ばしていきます。この方法であれば毎月検査のためだけに来院する必要がなくなり、来院頻度が下がるため患者さんの負担も少なくなります。再発する前に投与するので図②のように視力の維持もできることが大きなメリットです。長い目で見れば、投与の回数も減らすことになります。
――もし、治療を途中でやめてしまったらどうなるのでしょうか
飯田先生:継続治療というのは非常に大切です。中断してしまうと、新生血管の出血やむくみが再発し、黄斑がさらに傷んでしまいます。継続が必要な治療であることは、治療を始める際に患者さんにもしっかり認識していただきたい部分ですね。

日々の生活でできること
――日々の予防と気を付けるべきこと
飯田先生:太陽光など強い光は避けたほうがよいですので、サングラスなどを活用してください。紫外線ではなく、波長の短い紫や青の可視光をカットできるレンズが望ましいと思います。また、タバコは大きなリスクファクターなので、禁煙をお勧めします。さらに、抗酸化ビタミンを多く含む緑黄色野菜などの食べ物を積極的に摂取することもおすすめです。とはいえ、なかなか食事で摂取するのは難しいので、サプリメントなどで上手に取り入れていただきたいですね。私自身、食事も野菜をたくさん摂取するように気を付けていますし、サプリメントも飲んでいます。目だけではなく、身体にもいいことですからね。
――家族から見て、加齢黄斑変性に気付くようなポイントはありますか
飯田先生:片目が悪くなってくると、自覚は無くても遠近感が無くなってきます。例えば、お茶を注ぐときにこぼしてしまう、ペン立てにものをしまう時に外してしまう、などがあれば、片目の視力に異常が出ているかも知れません。視力が悪くなると、消極的になりがちですから、家族のサポートというのは、とても大切になってくると思います。
――最後に、視力に悩みを抱えている方にメッセージをお願いします

飯田先生:視界にゆがみがあったら、確実に加齢黄斑変性というわけではありません。ほかの病気の可能性もあります。診断をすることがまずは大切なので、まずは眼科を受診してみてください。現在は以前と比べ治療法が確立されていて、安全性も十分に担保されています。早期に発見し治療することで、視力の予後は良くなることが多くなっています。悪化してから治療しても、限界があるんですね。視覚情報が入ってこないと認知機能も落ちますし、生活の質を落とさないためにも、視力で気になることがあれば、早めにご相談ください。